困難を抱える子ども若者の支援とは

ひよこの家(高根沢町HPより)

栃木県高根沢町で学習塾を運営する中で出会った少年少女をきっかけに、現在では一般社団法人栃木県若年者支援機構を設立し、困難を有する子ども若者に対応した「食べる」「学ぶ」「働く」を軸にした活動を幅広く行い、2014 年からは栃木県子ども若者・ひきこもり総合相談支援センターを受託する代表理事の中野謙作さんのお話を紹介します。

○継続(伴走)支援が必要
・いつどこで困難にあうかわからない
・その度に支援が必要

○「学ぶ」、「働く」、「食べる」を軸にしたこれまでの活動:成長と共にかかわり続ける
・相談支援・生活支援:とちぎ教育ネットワーク(不登校、ひきこもり、非行、いじめの県内40 団体のネットワーク)、
地域子ども若者サポートセンター学び舎コア 地域の学習・相談・自立の支援拠点)、とちぎ若者サポートステーション(若年無業者の自立就労支援 厚労省委託事業)、とちぎユースアドバイザー(若者に寄り添うアドバイザーの養成)、ポラリス☆とちぎ(県の総合相談センター)
・学習支援:フリースクール学び舎コア、若者の居場所 不登校の学び場 、システムサイエンス専門学校菜の花別科(学歴年齢に関係なく誰もが学べる)、高卒認定支援プロジェクト寺子屋(県内10 団体協力)、少年院内高卒認定学習支援、とちぎユースワークカレッジ 新たな学びのスタイル 、生活困窮者学習支援事業、 子ども若者を応援する学習塾ANDANTEANDANTE(発達障がいの学習支援)
・居場所支援:高根沢町フリースペースひよこの家(適応指導教室を官民で)、キッズハウスいろどり・はなび、宮っこの居場所支援事業、昭和子ども食堂
・就労支援:とちぎボランティアネットワーク、ワーキングスクール、しごとや(企業・農家をネットワーク、中間的就労も)、てしごとや(小さなものづくりから始める)

〇高根沢町フリースペースひよこの家(2 003 年に新しい適応指導教室として行政が設置)
・表面的な学校復帰を前提としない(どこで学ぶかではなく、何を学ぶかが大切)
・全て子どもの声を聴いて形にしていった(大人の良かれではない)
・不登校となり学校復帰しない子どもは7 割以上⇒2 019 年「高根沢町学びの出前教室」を開始
・義務教育年齢を過ぎても継続して支援が必要⇒栃木県若者支援機構へ

○困難を抱える子ども若者(都内2001 年度)
・不登校:小学校8 千人、中学校1 万5 千人、高校4 千人、高校中退4 千5 百人
高校中退した途端、行政(学校・福祉・労働)からアクセスが途絶えてしまう
・ニート(若年無業):高校の中途退学者の6 割と高校未進学者で毎年3 千8 百人
・いじめ:6 万件(一日平均165 件)仲間意識が強まる一方、異分子を排除する意識も強くなる人間という生物の進化によるもの=ヒトはいじめをやめられない
SNS、ネットいじめ:だれもが被害者、加害者になる可能性、低年齢化
・子どもの貧困率:1313.55%(7 人に1 人)
・児童虐待:2 万6 千件
・自死:小中高生368 人、先進国で突出して高い
・ひきこもり:6 ヶ月以上自宅に留まり続けている状態 15 歳~39 歳9 万6 千人40歳~64 歳7 万8 千人
企業が求める人材:即戦力、経験者、有資格者、前職の評価の高さ⇒就労できない⇒一般就労だけではない多様な出口が必要

○子ども若者・ひきこもり支援から見えてきたこと
・不登校、ひきこもり、子どもの貧困、いじめ等に共通しているのは社会的孤立
・社会的自立を進めるには社会的孤立を防ぐことが最大の課題

○キーワードは安心・安全
・安心できる場と安心できる人がいるか、安全だと思える場と安全だと思える人がいるか
・学校以外、家庭以外の場である居場所をいかに地域に作っていけるかが本当の地域づくり

○これからの地域に求められる支援:排除することなく、あきらめることなく守り続ける
・いつでも誰でも相談できる人と場、みんなで食べたり生活を支える人と場、学んだり居場所としていられる人と場、就労支援につながる支援ができる人と場
・安心して不登校やひきこもりができる地域をつくる
・伴走支援、継続的に関われる人と場としての居場所をどうつくるか

「子どもの声を聴き、必要なものをたくさんの連携を通して作っていったらこんなにたくさんになりました」と中野さん。まさに当事者目線の官民や民々の連携、地域で作らねばと思います。