議会こそわがまちのリスクコミュニケーション

新庁舎の清瀬市議会議場(清瀬市HPより)

投票には行くものの、自治体の議会って何してるの?と思っている方も多いのではないでしょうか。

5月の新庁舎への移転により清瀬市議会にもやっと映像配信が導入されました。全国的にみてもかなり遅く、多摩26市でも最後という状況でした。

さらに近隣の自治体議会ではすでに議会基本条例が作られ、議会報告会や議会としての調査提案活動などが実施されているところも増えており、議会が組織としての機能を果たすことが進んでいます。

特に昨年度はコロナ禍においてさまざまな面で先が見通せない中、緊急的な対応が必要な状況が続き、どのような支援が求められているのか、何を優先すべきなのかという判断を迅速に行うことが自治体や、自治体議会に求められました。コロナウイルスの実態すらよくわからなかった昨年の3月は、清瀬市議会ではできるだけ開催日数を減らすという対策をとりましたが、その後の国からの交付金の使途などもっと十分な議論が必要だったのではないかと感じました。

コロナ禍において、どのように自治体議会の運営を進めていくべきなのでしょうか。自治体議会の改革を進めてきた市民と議員の条例づくり交流会議主催のオンライン学習会「オンラインで市民とつながる『討論の広場』」では、廣瀬克哉法政大学教授による基調提起、そしてコロナ禍においても議会としての活動を後退させることなく、むしろこれを機に議会活動を進化させている自治体議会の先進的な取り組みが紹介されました。

 

  • 基調提起

・議会が関与する意義は行政の裁量ではなく、住民の意思決定となることであり、リアルに参集できなくても審議議決できるようにしていくことが最悪の事態に備える危機管理の基本ではないか

・拙速にならない迅速な判断を、異なる見解を持つ複数の議員で、リスクコミュニケーションを行うことが議会の役割ではないか

・オンライン化によりこれまで議会との距離が遠かった人と近くなるための使い方をする工夫が必要ではないか

 

  • コロナ禍における実践報告

・市公式YouTubeで手話通訳も入れての議会報告の動画配信(東京都東村山市議会)

・議会内の会議研修会にZoomを活用(愛知県知立市議会)

・県の申請システムの活用による申し込みと事前質問の受付、事務局による報告資料の作成支援を受け、市のZoomライセンス活用によるリアルタイム配信型の議会報告会(兵庫県宝塚市議会)

・改選後のYouTuber新人議員が中心になり、議会報告を委員会ごとに動画で作成し配信(茨城県つくば市議会)

・専決処分をさせないためにどこでも議会に参加できるオンラインの活用(茨城県取手市議会)

 

*議会基本条例:各自治体議会が自らの議会運営の基本原則を定めたもので、2021.4.1.現在、全国で898(50.2%)の自治体議会で制定。行政情報公開と議会への市民参加を目的としたものが多い。

*委員会:専門分野ごとに審議や調査をするための常設のものや期間やテーマを限定し設置するものなどある

*専決処分:本来、議会の議決・決定を経なければならない事柄について、時間的に議会の招集を待てない緊急な場合などに首長が議会の議決・決定の前に自ら処理すること

 

議会をリスクコミュニケーションの場にしなければなりません。オンラインは、議会の議論を止めないための、またこれまで議会に関わることができなかった市民との新たなつながりを作れるツールとして、仮に感染症が終息したとしても進めていく必要があると考えます。