コロナ禍で変わる労働のあり方

今月から、 新型コロナウイルス感染症の法上の位置づけが季節性インフルエンザ等と同じ5類に移行しました。 コロナ禍で急速に拡大し、一定の定着を見せているテレワークですが、最近の電車の混雑ぶりを見ると元に戻っていくのかとも感じます。テレワークという働き方について青山学院大学教授細川良氏の講演を紹介します。

〇テレワークはコロナ禍以前から
・テレワークは1980年代から存在
・ 2000年頃からIT戦略や仕事と家庭の両立(ワーク・ライフ・バランス)の手段として普及・促進政策が本格化⇔しかし、普及せず

○通信技術の発達による働き方の変化の影響
・柔軟な働き方の可能性の拡大⇔労働者に対する負荷の増大
・仕事と家庭生活の両立の援助⇔働き方のコントロールの難しさ

○コロナ禍におけるテレワークの普及
・在宅テレワークの劇的な「普及」
・使用者は労働者にテレワークを命令すること、労働者はテレワーク命令を拒否できるのか
⇒学説では、「 配置転換 」と同じ扱いとするのが主流、勤務地や業務の変更の 1 つと考え 、労働者の個別の同意がないと、テレワークをさせることはできないという見解も有力
・働く場所と時間は、本来、 労働者と使用者の「合意」により決定 労働契約法3条3号:労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする

○テレワークをめぐる問題
労働時間の把握・管理 、労働者のプライバシー 、労働者の評価 、労働者のメンタル 、テレワークの費用負担

○働く場と働く時間:労働時間に関するルールをどう規制するか
・つながらない権利=業務からの遮断を積極的に実現する権利=休憩時間の保障
・ 労働時間外に業務に関するアクセスから遮断される権利
・当初の議論は仕事の私生活への浸食⇒労働者への負荷に着目した議論に
・フランスではつながらない権利を立法化

○自律的な働き方をする労働者の拡大
・労働時間の規制の緩和が妥当なのか⇒労働時間規制の目的を踏まえた改革が必要
・自律した働き方とは?

我が家も一時期、テレワークやオンライン会議、オンライン授業で家族全員がパソコンに向っている時期がありました。通信環境が悪いこともよくあり、特にオンライン授業での支障に苦慮していたことを思い出します。
  テレワークでは、通勤時間は節約できるものの、仕事時間とプライベートの時間との線引きが難しく、むしろ出社したときより長時間仕事をすることが増えていました。また、オンラインの会議や授業の際にはカメラをオフにしにくく、むしろ対面の時より妙な緊張感があると感じます。オンラインの際の背景も、今では「ぼかし」など使いますが、当初は設定もよくわからず、家の様子を隠せない場合もあり戸惑ったことを覚えています。 また、負担という面では、電気の使用量が増えたという直接的な増もありました。
 我が家はすでに子育て期を過ぎているので、仕事や会議に集中できる環境で、合間には家事もでき助かりました。しかし 、子育て期であれば子どもを保育園などに預けるか、テレワークスペースを借りるなどしないと柔軟な働き方の実現や仕事と家庭の両立を進めることは難しいと感じました。