米国産生ジャガイモの全面輸入解禁を止めよう

国は2006年に米国産生ジャガイモの輸入をポテトチップス加工用に限定し、植物防疫に関する厳しい条件付きで認めました。さらに、2020年にアメリカ政府から輸入拡大を求められ、米国産生ジャガイモの全面輸入解禁に向けた検討を進めています。
今後、米国との協議の上で決定するということですが、米国産生ジャガイモの全面輸入解禁は国産生ジャガイモにとどまらず、日本の農業全体に関わる問題となります。
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン 共同代表、日本消費者連盟 代表運営委員である原英二さんの講演を紹介します。

◆米国産生ジャガイモの輸入解禁による懸念
①病害虫(特にジャガイモシロシストセンチュウ)の侵入・まん延リスク
②国内農業と地域経済の弱体化
③ポストハーベスト(収穫後)などによる残留農薬での健康被害
④原材料の表示義務がないことで知らないうちに食べることになる

①病害虫(特にジャガイモシロシストセンチュウ)の侵入・まん延リスク
・ジャガイモシロシストセンチュウはジャガイモ・トマト・ナス等の根に寄生し、作物を枯死させ、大きな被害を与える
・殻をつけたシスト(卵嚢)は、長期間の乾燥、冷凍、殺虫剤にも耐える
土を落として輸入されてもジャガイモ表面の凹凸のくぼみに残るシスト(0.6ミリほどで肉眼では見えない)まで取り切れない
シストの中には200個以上の卵がある
・北海道で2015年に発生したジャガイモシロシストセンチュウの被害により、隔離・封じ込めが必要となり、10年経った現在でも使えない圃場が残っている
→一度侵入すると根絶は困難

② 国内農業と地域経済の弱体化
・ジャガイモはコメに続く安定的な国内生産を維持している
→輸入解禁によって安価な輸入ジャガイモが大量に流通すれば、国産ジャガイモの価格低下や需要減少を招き、生産者の経営を圧迫することが懸念、全国各地域の農業の衰退に
・米国産遺伝子組み換えジャガイモやゲノム編集ジャガイモの流通につながる

③ ポストハーベスト(収穫後)などによる残留農薬での健康被害
・米国産生ジャガイモ輸送時の防カビを目的とする農薬(ジフェノコナゾール)は、動物実験
で発がん性や神経毒性が指摘されている
→日本では食品添加物(食品衛生法)として使用が認められている
・生産時にも米国産生ジャガイモには、国内で使用されていない農薬が用いられている場合がある

④ 原材料の表示義務がないことで知らないうちに食べることになる
・外食や加工食品では、遺伝子組み換えジャガイモの表示義務がなく、原料を知ることが難しい
・ゲノム編集ジャガイモについてはそもそも表示義務がなく、生鮮品や加工原料として消費者にはわからない状態で流通する

現在のポテトチップス加工用ジャガイモの輸入の際にも土は落とした状態で輸送されるそうですが、ジャガイモは凸凹しているため、くぼみにジャガイモシロシストセンチュウの殻に包まれた卵嚢が残ってしまうようです。しかも卵嚢の大きさは、0.6 ミリほどで見えにくいうえ、その中に200 個以上の卵が入っており、この病害虫の侵入を防ぐことは現在の方法では不可能と言ってよいという説明もありました。
また、国内各地域で作られているジャガイモの種芋の9 割は、北海道で生産されているそうです。北海道は気候条件が適しており、国内の他の地域では種芋の生産が難しいそうです。そのため、北海道の圃場がジャガイモシロシストセンチュウにより被害を受け使えなくなれば、国産の種芋の生産が難しくなり、全国各地での国産ジャガイモの生産が難しくなることが予想されます。
しかもそのことで米国産生ジャガイモを種芋として全国各地で植えることになれば、ジャガイモシロシストセンチュウの被害は全国各地に広がり、隔離・封じ込めのために使えなくなる圃場が拡大することにつながります。
アメリカでジャガイモの生産地として有名なアイダホでも、ジャガイモシロシストセンチュウの被害が出ており、一部の圃場が隔離、封じ込めされ、使えない状態になっているとの報告もありました。イギリスでも同様の被害が出ているそうです。
さらに、米国産生ジャガイモが生鮮品として消費されるようになれば、皮やジャガイモそのものに付いたシストから家庭のコンポストや家庭菜園にジャガイモシロシストセンチュウが入り込み、地域の圃場に広がる可能性も高まります。全面輸入解禁は食い止めなければなりません。